風に呼ばれる

まさに体の中で何かがざわめくような
遠くからの呼び声を聞くような

今すぐにでも駆け出したい気持ちを
抱えたまま
立ち上がって
歩き出す

おおきくはやくうずまく
なにものかの力には
押し流されない
それには
静かに遠くをみつめ
呼び声に耳を澄まさなければ

目の覚めるような
まるで一陣の風
きっと遠くまで
連れていってくれる

 

折坂悠太『ざわめき』

かなたの希望

あなたの見たい世界に
あなたがなりなさい

ガンジーは言ったそうです。

私は
私の見たい世界とは
どういう世界なのか
ずっと考えてきた。

今日
少し見えた気がする。

どこの誰であろうと
何をしていようと
いま生きてここに在る
あなたや私として
認め合いたい。

お互いがこの世で
日々を生きようとする
尊い存在であることを
忘れないようにしたい。

そしてそれを
当たり前のこととして
なんでもない風に
生きていく

それが私の見たい世界です。

 

『希望のかなた』

集う

持ち寄った音楽を
皆で囲む夜

風景が見えるうた
映画のように連なる音
異国を旅しているような声

どうぞ どうぞ
皆それぞれに
よい年を迎えられますように

 

ことびらき/晴れたら空に豆まいて

静かな庭

とてつもなく高い温度から
生み出されたひとつの時間

芸術は一瞬で成る

人の手を感じる良いものが
ざわざわと、しんとして、
それぞれに集っている

 

『日曜陶芸ふたり展』

長い道を行く

生きていくために必要なのは

良き相棒

少しのユーモア

見守ること

靴底に折りたたまれた
なけなしの紙幣

 

『スケアクロウ』

勇気をもって

誰か助けて
誰か助けて
誰か助けて
誰か助けて

何が命を分けるのか
なぜ彼は死んで
私は生きているのか

誇れる自分でいること
胸を張って生きられること
世の中に正しいことがどれほどあるかは
わからないけれど
誇れる正しさはあると思う
それは自分で選び取ることができる

私の幸せとは何か、を
はっきり言えるようになりたい

いま生きてここにあることが
どれほど大事なことか

 

『ダンケルク』

静寂

水底にいる
粒子になったような感覚

私は私であり
また世界である
私は私であり
また私以外のすべてである

日々の暮らしの中では気づかなかった
自分がここにいること

限りある肉体をもって生まれた不自由
沈黙の中でゆらめく肉体にみる自由

理想をみる
命はいつでも新しい

 

アップデイトダンス No.47 『静か ー完全沈黙のダンスー』

彼岸の人

折坂悠太という人は
詩人であり演奏家であり
なによりうたい手である

今日はちょっと美空ひばりのようだなあ、なんて思っていると
間もなくリンゴ追分をうたいだす
時々誰かが降りてきているイタコのような
うたい手でもある

久しぶりに聴きに行ったら
良い意味での野太さと
がっしり迫力のある感じ
それでいて変わらぬ自在な表現と
正直なうたう姿勢

よかった
生きててよかったなと思った

こういう人
なかなかいないです

 

折坂悠太(合奏)わんまん/晴れたら空に豆まいて

新しい年

私がみているのは舞台に立ち現れた森羅万象
人の形をした流動する現象

表現することへの献身を果たした者だけが到達する
奇跡のような救い

まるで祈りのような
平らかな世界を祈るような
生命の祝福

 

アップデイトダンス No.42 『Scheherazade』

自分の輪郭

デザインっていい!
デザインするってすばらしい!

気分のいい線
うっとりする線
くっきりと心に迫る

シンプルとは自分であること
どういう覚悟をしているか
どのように生きたいか

迷いのない線にたどり着くための
大いなる迷いをためらわないこと

 

『シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展』