風に呼ばれる

まさに体の中で何かがざわめくような
遠くからの呼び声を聞くような

今すぐにでも駆け出したい気持ちを
抱えたまま
立ち上がって
歩き出す

おおきくはやくうずまく
なにものかの力には
押し流されない
それには
静かに遠くをみつめ
呼び声に耳を澄まさなければ

目の覚めるような
まるで一陣の風
きっと遠くまで
連れていってくれる

 

折坂悠太『ざわめき』

集う

持ち寄った音楽を
皆で囲む夜

風景が見えるうた
映画のように連なる音
異国を旅しているような声

どうぞ どうぞ
皆それぞれに
よい年を迎えられますように

 

ことびらき/晴れたら空に豆まいて

彼岸の人

折坂悠太という人は
詩人であり演奏家であり
なによりうたい手である

今日はちょっと美空ひばりのようだなあ、なんて思っていると
間もなくリンゴ追分をうたいだす
時々誰かが降りてきているイタコのような
うたい手でもある

久しぶりに聴きに行ったら
良い意味での野太さと
がっしり迫力のある感じ
それでいて変わらぬ自在な表現と
正直なうたう姿勢

よかった
生きててよかったなと思った

こういう人
なかなかいないです

 

折坂悠太(合奏)わんまん/晴れたら空に豆まいて

コンバンワとThomは言った

気づいたら
RADIOHEADのアルバムを20年ほども買っていないのだった。
「OK Computer」を聴いた時に
なんか変わっちゃったなと思って離れてしまった。
「KID A」は通して聴いた覚えがない。
その後あまりにあっさりと聴かずにきてしまった。
新しいアルバムが出る度に話題になっていたのに。

今年のSUMMER SONICはRADIOHEADを聴きに行きたいと思った。
私の知ってる曲はひとつも演奏しないだろうと覚悟していた。
なぜかそれでもいいと思った。

久しぶりのRADIOHEADのステージは圧巻だった。
一等良いライヴバンド。
スタジアムにいるのに
まるでひとりで聴いているみたいに満たされていて
とても気分がよかった。

曲の合間でThomが コンバンワ と言った。
突然胸に込み上げてくるものがあって泣きそうになった。
ああ、彼らも私も年とったなあと思った。
20年は長い。

CreepはやらなくていいけどStreet Spiritが聴きたいな、
でもきっとやらないだろうと思っていた。
思った通り私が今でもよく聴いてる曲はNo Surprisesくらいで
メンバーが袖に引っ込んだ。

アンコールの流れでもまさかCreepをやるとは思わなかった。
“I wish I was special”の大合唱を聞きながら
RADIOHEADは大人になったなと思った。
20年がリアルに感じられた。

最後にStreet Spiritの演奏が始まった時
生きててよかったと思った。
私の20年。

タイムマシンがなくても時間は行き来できる。
変わらないものなど何もないから生きててよかったと思える。

 

RADIOHEAD/SUMMER SONIC 2016